海鳴駅と七十二候鉄道
- fukafukapintor
- 6月3日
- 読了時間: 2分
更新日:6月4日
ふかふかの街にある小さな駅、海鳴(うみなり)駅。
潮風が届く海沿いにある駅で、この世界への入り口です。

働いているのはきつねの駅員さん。
のんびり屋で、いつもにこにこしていて、どこか掴みどころがない性格です。
ひとりごとなのかこちらに話しかけているのかよくわからない、ゆるゆるとした話し方をします。
寂しい時やどこかへ行きたい時、何も聞かずに優しく迎えてくれます。

この駅から出る電車のひとつに、季節を巡る七十二候鉄道があります。
七十二候(しちじゅうにこう)とは、古代中国で生まれた季節の区分法。
二十四節気(にじゅうしせっき)という、春分や夏至などの季節の大きな区切りを、さらに細かく約5日ずつに分けたものです。
移ろいゆく自然の姿を、動植物の変化や気象の様子を捉えた美しい言葉で表現しています。
古くから日本でも季節の目安として親しまれてきた、日本の繊細な四季を感じるための暦です。
その候ひとつひとつが駅となり、一年かけて一周するのが七十二候鉄道です。

七十二候鉄道の切符は、季節の色で染められています。淡い春の色、生命力の夏の色、実りの秋の色、静かな冬の色。一枚につき五日間有効。握りしめている間に車窓の景色は鮮やかに変化していきます。

今日も小さい駅で一匹、列車を送り出すきつねの駅員さん。静かで、季節に忠実で、誰にも見られなくても仕事を続けています。
列車が来て、季節を乗せて、また次の駅へ行く。そのたびに帽子をちょっと押さえて、にこにこと静かに見送ります。
